「翼ちゃん、そこに座ってくれる?」
リハの時にはなかった木で出来た椅子と机。その上には綺麗な色のジュース。
南国の世界を切り取ったように存在していた。
椅子に座ると雅司さんはカメラを構えた。
「…翼ちゃん、自由にしてていいから。」
「…はい。」
あたしは机に顔を付けて、綺麗な色のジュースを眺めた。
綺麗だな…。
こんなことしてる中でもカメラのシャッター音は鳴り響いていて…
それでも、あたしは自分の世界に入ったみたいにただジュースを見つめていた。
「はい、オッケー。」
雅司さんの声ではっと我に返った。


