『しかも誰?

この完璧主義な暴走系美女って。

ま、あたしは完璧主義だけど暴走的ではないからね。』

サラッと言えるのがスゴいわ。
いや、ムカつくくらいサラッと否定したのがあかんわ。


『………いや、青依しかあんなキャラ、いない……。』

『殴りましょうか?

この重たい荷物とともにあそこら辺の海へ流しましょうか?』

朱音が言うと一番迫力があるわ。

『じゃあ誰がいるんだよ?

こんな青依に似た暴走的……。』

ブンッ!!!


『………前言撤回、してくれるよね?

ついでに荷物も持つよね?』

『………な訳な…』

グキッ!!

『……お持ちいたします。』

『昔は素直だったんだからそのままがいいのよ、諒弥。』


諒弥、頼むから腕はケガすんなよ。

『でも何で新田がこんな目に会ったんだろうな~?』

のびのびと間延びした声で諒弥は杏を見つめる。


『存在自体が緩いから、ゆるくいじめたかったからじゃない?』

……お前、杏の親友か?
てか本人の彼氏の前で堂々と悪口言うなや!!

文句の1つでも言うたろかと口を開けたが、


…~♪~……

タイマーセットしたかのように、携帯がガンガン鳴り響く。


……まるでベターなドラマみたいやな。

どうやら朱音の携帯らしく、顔をしかめながら携帯を取り出すと、








…………瞳が、

まるで獲物に食らいつきそうな野良猫に変わる。

俺は知っとる。

大阪にいた頃、一回ヤンキーに絡まれた事がある。

……そんときのヤンキーの瞳は今も忘れへん。

変に目を魚みたいにギョロギョロ俺を見回して、

どうやって食ってやろうか?

まるで狼みたいに汚い舌をダラダラ出しよった。