それは俺の部活が終わって杏を待ってた時やった。

『……遅うないか?』

明らかに遅すぎる。

もう一時間以上待っとるやないか。

まさか自主練しとるとか?

それはないわ、だって

『今日こそ勝負よ!!

絶対杏なんかに負けないんだから!!』

『あたしこそ!!

絶対青依なんかに負けないんだから!!』

『二人とも分かったから早く行こうよ……。』

とか言いながら朱音と輝本と部活に行っとったけいな。

『……はぁ。』

溜め息を着きながら待っていると、









『………陸!!!』

『……諒弥。』

汗まみれの諒弥が俺の元に来た。

『お前、何でこんな所に……。』

『何で言うても……


そりゃ杏を待っとるに決まっ……。』









『新田が保健室に運ばれたんだよ!!!』

…………は…?


『おい……それ……。』


『階段から落ちたらしい。

一人で教室に戻ったらしく、頭と足を強打したって………。』


バッ!!!


『おい陸!!!』

その時、俺の耳に諒弥の声は聞こえなかった。

ただ頭の中には杏しかいなくて……


何で1人にしたんだよって、


何で杏がこんな目に合わなきゃなんないだよって、

ずっと頭の中で自問自答してた。


ただ1つ、








杏が無事でいたらいい。


それだけやった。