ずっと憧れた。

この学校に入れたのは奇跡だったから。


塾でもかなりバカだったあたしが、トップクラスの桜ヶ丘に入れたのは奇跡。

もちろん勉強はついていけず、無口なあたしなんかクラスでも地味。


でも中2になってから変わった。

陸に会って変わったの。


完璧な俺様が、あたしには羨ましかった。

自分に自信を持ちたい。

もっと可能性を広げたい。

みんなにもっと見てもらいたい。

青依までって訳じゃないけど、密かにそう思ってた。




期待に答えようと必死な陸が、
























「…………陸~っ!!!!!」





あたしは、大好きだから。



その時

一秒、いやほんの一瞬、


陸があたしを見て驚き、笑った気がした。


≪俺をなめてんなよ??≫


いつもみたいな、狼な笑顔で。



そこからいきなり、陸と相手の差がぐっと広がる。


「頑張れ、大野!!」


「陸!!!いっけぇ!!!」

つられてあたしも大声を出す。