「・・・うッ・・」


声にならない声だ。


本当に痛い時は、
声が出ないということが
改めてわかった。


一瞬時間が止まったかと思うと、
聞きなれた声が耳に入ってきた。


「陽太、大丈夫?」


姉だ。

俺より5つ年上の21歳。

大学生だ。


大丈夫?と心配しているように思えるが、
明らかに笑いをこらえている。


よって、この場は無視だ。


「・・・」


「また昨日遅くまで

 訳のわかんないゲームでも

 してたんでしょう?

 ロール…何とかだっけ?

 よくまぁ飽きずできるわ…

 その意欲を少しでも

 勉強に向けれたらねぇ」



(いい加減覚えろ!

 ロールプレイングゲームだ!!)


 ・・・しかし、あまりの痛みに反攻できない。