俺が考えこんでいると

自己紹介が始まった。


「私、日向(ひゅうが)葵。

 小林陽太くんと同じ学年だよ」



「ふ~ん…って

 何で俺の名前知ってるんだぁ?」


「えへへ。なぜでしょう♪」



彼女の屈託のない


その笑顔に見とれてしまい


俺はそれ以上聞けなかった。




そのころの俺は


彼女の笑顔に隠された


本当の意味を知る由もなかった。