ふっと口を緩め、あたしを見ている彼。
『…強気で、実は弱いとこの方が多い。』
『―! …な、何言って…』
…本気で焦った。
会った事もないのに。
…ましてや、話したことさえ。
…なのに。
全部…、見透かされているような感覚が体中を駆け巡った。
『…なぁ、付き合ってみねぇ?』
…突然言われたその言葉。
『…は?何言ってんの…?無理に決まって…』
『……じゃあさ、こういうの…、どう?』
上がった口角のまま。
彼はあたしに言った。
『…2週間。』
『…え?』
『2週間で、落としてやるよ』
落とす?
…それって、あたしを?
『…、無理。…でしょ』
あたしは今まで誰にも落ちた事なんてない。
…だから、
そんなの…、不可能に近い。
…いや、“不可能”だ。
『だから。期間付き。…2週間。
…確実に惚れさせてやるよ』
そう言う余裕な顔に、あたしの中のちょっとした対抗心が生まれる。
『……分かった。…いいよ。受けてあげる』
絶対、落ちないから。
そう付け加えて、あたしは少し笑った。
