「おーい、蓮!!」


「…」


俺を呼ぶ、声さえ耳に入らない。


「……蓮ー?」


…俺は、目を奪われた。


「……あぁ、悪りぃ」


たった一人の、女に。
































『…ア…ッ』



…日が落ちそうな、放課後。


微かに聞こえてくる、甘い声。




「……もう…っ!!!蓮!!」



「………あ?」



今の今、甘い事情に流されている目の前の女。


名前は確か…、あぁ、そうだ。

麻由美(マユミ)だ。



「…っな、なんか今日…蓮、全然集中してくれないじゃない…っ」



少しだけ滲んだ汗。


はだけた肌をシャツで隠しながら、プイと麻由美は拗ねたフリをする。