…どうしても、黄昏たくなるこの季節。
…て、あたしだけなんだろうけど。
暑さというものは残っていなくて。
寒くもなく。暑くもなく。
…そんな、過ごしやすい10月の“秋”という余韻があって。
…その頃に比べて、“暖かさ”というものは消えていた。
本格的に…冬が始まるこの季節。
11月。初旬。
衣替えで夏服から変わった冬のブレザーにまぁまぁ慣れた頃。
「…秋、か…」
や、冬。…かな?
あの後あたしは結局行く当てもなく。
ふら…っと立ち寄った屋上。
カラカラと枯れ果てた茶色い葉っぱが風に揺られて転がって。
「…さむ…」
肌の隙間から感じる風に、少しだけ肌を震わせた。
とりあえず、目についた木のベンチに腰掛けた。
〈…リーナ〉
「…!」
ボーっとした時、なぜか頭に浮かんできたのは奴の声。
〈ボーっとしてる〉
いつもの、その声。
「…てか。誰のせいよ…」
ボーっとしている時は、大抵アイツのことを考えているような気がするのは…
気のせいだったらいいのに。
「…」
…なんで?
何で…、あたしがあんな奴のことなんて考えないといけないのよ。
あたしは
ただ、本格的に冷えてきた風を顔の肌で感じて。
…一人頭の中で考えた。
