「ふっ……や…っ…」
だんだん息苦しくなってくる私は、三木さんを拒んだ。
顔を背けて、三木さんから逃れようとしたのだ。
すると、三木さんは背中に回していた腕を解放し、私から離れた。
「朱里…キス下手だね…」
たった一言、妙に笑いながらそうつぶやいた。
正直キスには抵抗はあったけれど、そのおかげでなんとか涙を止めることが出来た。
そして私の手には、さっきからずっと手放さなかった宏太との写真―。
「朱里っ」
いきなり名前を呼ばれて腕をつかまれたせいか、その瞬間に写真は床に落ちた。
写真たてと一緒に、ガシャッという音をたてて…裏返しになった。
そんなの気にしないで、三木さんは私の腕を引き寄せる。
そして、腕が終了したら体ごと引き寄せた。
「俺と付き合ってください…」
三木さんは、いきなり耳元でそう囁いた。
