宏太のことについて語り、もう暗かった夜道は明るくなり始めていた

近くの公園のベンチで座っている私と男性は、眠気に襲われながらも耐え続けていた。


一生を変えそうになった男についてを語る女

片や、女の話を興味深そうに聞く男


――この二人には出会った意味があった


「―――それでその男に…俺が似てるってわけ?」

「……はい」


一通り宏太について話し終わった…が、なかなかまとまらなかった


宏太との出会いから最後まで…何から何まで話したから――…。

人相や性格はもちろん、つい趣味やデートのことまで話してしまった

あまりの話しやすさと、誰にも話せなかったことを全部話したからだろう…


「山崎宏太…か。聞いてなかったけど、あんたの名前は?」

「薗田朱里…です」

「朱里? 俺の名前は……三木雄也――」




   " 三木雄也 "




心に響くその声は、私の体いっぱいに伝わった


宏太じゃない――…

それで少しだけほっとしたのか、がっかりしたのか…

自分でもよく分からなかった


ただ、いつの間にか心の奥底にあった私の"女心"が少しだけ揺らいだ。


信じられる人を見つけたからだと思う

私はこの男性の名前を、ずっと心の中で繰り返し繰り返し言っていた