「明日は、絶対早起きしよっと。」

終点の新宿に到着すると、そう決意して人の波にもまれながら電車を降りた。

「はぁ~っ」

ため息しかつけないくらい、気分が落ち込んだ。

それでも、足は会社へと向かっている。いつものようにいつもの道を‥。

「おはようございまーす。」

入口の守衛に挨拶をして、更衣室へ向かう。ダサい制服に着替えて給湯室へ。コーヒーはすでにセットされていた。

ぼんやりしながら、コーヒーを注いでいると、後ろから元気な声がした。

「お・は・よ・う!」

はっとして、振り向くとそこには田村京子がいた。真奈美と同い年。真奈美より一年遅く派遣されてきた。彼女が来るまでは、ほとんどが年下の女子社員の中で少し浮いていた真奈美の貴重な救世主だ。

ただ、真奈美と大きく違うのは京子は結婚三年目の主婦だということである。
お給料はほとんど変わらないのに、京子の収入のほとんどは「貯蓄と娯楽費用」に当てられることになる。

ろくに貯金もできずにひぃひぃ言っている真奈美の生活とは雲泥の差である。