斜めに座って足を組み、鏡を見ながら
何度もマスカラをつけている‥その姿の
美しくないこと‥本人はきっと『イイ女♪』の
つもりなのだろうけど‥ひどいものだった。

真奈美は、アホらしくなって読書を続けた。

電車が途中駅に到着し、真奈美の隣の席が
いくつか空いた。

そこへ、駅から乗って来た人が何人か座ろうと
したので、真奈美はまた無意識に本を読みながら
腰を少しあげ、居住まいを正す素振りをしながら
端に寄った。