この時間帯の車内はさすがに空いていた。

『ゆっくり座って本が読めるわ♪』
と、真奈美はキョロキョロを車内を見回し
比較的座っている人の少ない席を探した。

一人の男性が端っこで居眠りをしている席が
あったので、その反対側に座ると
バックから文庫本を取り出して真奈美は
読書を始めた。

夢中になって本を読んでいた真奈美だが
途中駅で人が乗り込んで隣に座れば
必ず腰を少し浮かせてなるべく端へ
寄るように本を読みながらも
気をつけるようにしていた。

それは、真奈美にとっては当たり前の仕草で
当然のことだった。