キンコンカンコーン♪

『あ、お昼だ。』

いつものように、財布と携帯にハンカチを持って席を立つ。

廊下で京子がすでに待っていてくれた。

「あ、ごめん。どこに行く?」

「イタリアンは?この間、新しいお店見つけたのよ。」

「えっ?どこに?」

「いつもの和食屋さんの一本裏よ。地下だし入口が小さくて目立たないんだけど、なかなか雰囲気良さそうだったからさぁ‥。」

「へぇ、知らない。楽しみだわ。」

通りにはランチを求めてサラリーマンやOLがあちらこちらのビルからぞろぞろと姿を現し始めていた。

「ほら、ここ。あら、もう、結構いるわねぇ。」

「ほんとだ。なかなかイイ感じだわね。待つかなぁ?」

「ちょっと、覗いてくるね。」

そう言うと京子は地下の店内に小走りで降りていった。