指折り★Holiday





振り返ると、
2つの鞄を肩からかけた譲輝くん。




手には、
あたしの携帯が握られている。





その譲輝くんの姿を見て、
何もかも置いてきてしまったことに気が付いた。




「ご、ごめん。ありがと・・・・」



鞄を受け取って、
携帯があたしの手に渡ったとき。



まるで見ていたかのようなタイミングで、
あたしの携帯が着信を表示した。




通話ボタンを押し、
ゆっくりと耳につける。



「もしもし、・・・・・・・そっか。
ううん、わざわざありがとう」



電話の相手は、
お母さんだった。




用件は、



お父さんの出張が今日になったこと。




ついさっき。
家を出たと教えてくれた。





やっぱり。




願ったもの全部、
あたしの手をすり抜ける・・・・・