指折り★Holiday




いつもそうだった。



手に入れたと思っても、
いつしかあたしの手をすり抜けて


あたしの元を去っていく。





幼稚園の父親参観も、

小学校の運動会も。




お父さんとの約束は、
いつもいつの間にかなくなっていた。



必死にお願いして、
必死に約束まで取り付けた。




でも――――。





頑張って話してたあたしの言葉は、
お父さんからしてみれば

“その場しのぎの繕った言葉”

―――だったんだ。





継ぎはぎだらけのあたしの話は、
きっと誰も聞いてくれない。



惨めさ、弱さが、
全部一緒になっていたたまれない。





「――――おい」



背中から聞こえた、
あたしを呼ぶ声。




振り向かなくったって、
声だけで誰なのかがわかった。