指折り★Holiday





携帯をベンチの上に放り出し、
必死に背中を追いかけた。



「お兄ちゃん!!」



もう1度大きな声で呼んでみると、
振り返った人はやっぱりお兄ちゃんだった。



足を止めたお兄ちゃんの腕を取り、
満面の笑みで笑いかける。




「こんな長い間どこにいたの?
お母さんもすごく心配してるよ。

あとね、お父さんとも話したんだ!
今度話を聞いてくれるって!!

だから、お兄ちゃんも一緒に・・・・」


「マジで言ってんのか、菜子?」





――――え?



あたしの笑顔が固まる。


あたしの腕を解いて、
無表情のままお兄ちゃんは続けた。




「あの人が約束なんて
・・・・・・守ったことあったか?」




フッと笑うと、そのまま
あたしを置いて歩き出してしまった。




「待ってよ! ちゃんと約束したよ?
“話聞く”って! 本当に言ったよ!!」



追いかけて、
どれだけ話しかけても、



お兄ちゃんの足は止まらない。