「わ、やば」 「どうしたの?」 「6時に井口来るんだよね。 ごめん、菜子。 もう帰んなきゃ」 申し訳なさそうに眉を下げる綾乃。 机の上においてた携帯を手にとり、 鞄を肩にかけ、立ち上がった。 「もーぅ、そんな事気にしないでよ。 早く行ってラブラブしてこーい!」 「ちょっと、大きい声で何言ってんの」 少し照れて、 顔をほんのり赤くする綾乃。 「じゃあね、菜子」 「また明日ー」 お互い手を振り合う。 ニコニコ笑顔で綾乃を送り、 綾乃が店を出た瞬間、 あたしの顔から笑顔は消えた。