ドアのところまで来て、 「何?」 落ち着いた低音ボイスが響いた。 「あの、朝はありがとう!」 「あぁ、別にいいけど」 「なんともなかった?」 「特には。うまく言っといたから」 見上げた顔、 初めて真正面から見た譲輝くん。 メガネの奥の、 綺麗な二重まぶたがあたしを見つめてる。 うん。やっぱ、カッコイイ。 綾乃言うことが正解だと思いながら、 あたしは握っていた携帯を差し出す。 「それで、これ・・・譲輝くんのかな?」 ドキドキと、 自分の心音が聞こえてきそう。