まばらにしかいない人。 ドアのところから、 黒い携帯を片手に きょろきょろ見渡すあたし。 「あ、ねぇ!」 「んー? あ、菜子じゃん! どうしたのー? なんか用?」 ドアの近くにいた友達に声をかけ、 少しドキドキしながら“彼”を呼ぶ。 「譲輝くん呼んでくれる?」 ぎゅっと携帯を握り締め、 友達が譲輝くんに声をかけるのを見る。 何話してるかわからないけど、 譲輝くんが目を見開かし、こっちを見たのはわかった。 ゆっくり立ち上がり、 ゆっくりこっちに向かってくる譲輝くん。