「雅人さん、お願いします!」




「雅人もぅぃくのぉ〜」




「ちょっと待ってて。」




俺は客の髪を撫でた。




女は髪を触られるのに弱い。いつも席を立つ時のお決まりの様なもの。




俺はいつの間にか、色恋帝王になってしまった。





客が勝手に抱く俺の理想像になりきっていたら、いつの間にか、王子だなんて呼ばれて…




結構しんどい…




全くを持ってそんなキャラじゃねぇ〜のに…






でも仕事は仕事だし、ちゃんとやらね〜と。




これでも、ずっとこの店ではNo.だからな…








「沙良さんです。」



「ぉぅ。」



沙良か…



どうせ一時間だし金になんねぇ〜な。




でも今日の客はウザかったから丁度いいや…





そういえば、あいつ風邪治ったんかな…





ガチャッ…


いつもの様にビップに入る。





「お疲れ〜…」




「おつ…」




「沙良?!」





「どうした?」





「……」