「お時間十分前になりますがどうされますか?」




フト我に帰るともうそんな時間。



「チェックねぇ〜」



私の代わりに雅人が言う。


いつもの光景。



セット料金だけ払って私は、早々と店を出る。




「じゃぁねぇ〜」



エレベーターの光で少し目をくらましながら、手を振る雅人。



私も笑顔で手を振った。








ガチャン――







私はいつまでこうしてるのだろう…






でも、この道を選んだのは私だ。




月一回、たった一時間。


雅人に会いに行く。


雅人がホストを辞めるまで、私も夜の生活を辞めないと――





もう客以上の関係にはなれない―


いやもう既に、客以下だ―


それでもまだ会いたいと思うのは、私の中で雅人が消えてないからなのかな―






あの頃の少しの幸せ、壊してしまったのは、私自身だったから―


きっと後悔のまま、私の時間は止まってる…