ある日の放課後。 毎日のように、最後まで学校に教室に残っていた私は、今日も変わらずだった。 夏は、確実に近付いてきて夕方なのに、外はまだ明るい。 トントン、と階段に自分の足音が響く。 まるで、先生が歩いてきてるような錯覚に陥る。 はあー…やっぱり忘れられない。 校門を出て、のんびりと桜があったはずの緑色の道を歩く。 やはり、暑い。 「美空、探したんだぞ」 その声は、背筋の凍るような悪魔のようだった。 逃げ出したいのに、逃げられない。 足が動かない。