風呂に入りなさい、と私の頭を撫でた先生は、先程とは違って穏やかな表情だった。 少し安心しながら、浴室へ入る。 あと数日で、この夢みたいな生活も終わり。 自分で終わらせたくせに、名残惜しいみたいじゃない。 違う、寂しくなんてないよ。 明日のことに想い馳せつつ、お風呂から出てリビングに顔を出せば、先生はうたた寝をしていた。 ゆっくりと近付いてみれば、普段の眼鏡も取っていていつも以上に綺麗。 まるで、キスをするような距離まで近付いても先生は起きない。