「さやかたちのことはさ、

同じクラスの、さっちゃんに聞いたんだけど。

前にも、その…


いじめみたいなことがあって、

転校しちゃった子がいたって」



「そうだな、詳しくは知らないけど、

女子の間でなんかあったってのは

噂になってたよ。」


ハルキくんは、隣のクラスだから

うちのクラスのことも

噂になってただろう。



「今日の、トイレでのこともそうだけど、

天使がいてくれたから、

私、学校に通い続けられたって

思うんだよね。


ひどいことされても

前向きに、がんばろうって

私は悪くないって

思えたの…」



「そうだな。」



ハルキくんは

私のことを弱虫とも言わず

さやかたちのことを悪くも言わず


静かに、私の話を聞いてくれた。




「前に、一度だけ

天使の輪が見えたことがあったの。

トモキくんがひかれそうになった、あの時。


でも、今はずっとある」



「輪っかが?」

「そうなんだよね…」