宿の玄関で迎えてくれた担任の先生は、
私を怒ったりしなかった。
むしろ、すぐに見つかって良かったって、
安心してるみたいだった。
先生にも、心配かけちゃったな…
そしてもう一人。
「かおるちゃん!」
さっちゃんもすごく心配してくれた。
先生に、隣のクラスの子と一緒に帰ると聞いて
玄関で待っててくれたんだ。
「ごめんね、いなくなったの気付いてちょっと探したけど見つからなくて…
心配になって、担任の先生に連絡したんだけど、
そしたら先に帰ってなさいって…」
「謝らないで、私がおっちょこちょいなのがいけなかったんだから。
すぐにハルキくん達が来てくれて、大丈夫だったよ。
ありがとう、さっちゃん」
話していると、ハルキくんと本田くんも
靴を脱いで玄関に上がってきた。
「お前、どんくさいこいつの友達?」
本田くん!
どんくさい言い過ぎ…
反論できないけど。
「本田、いくらどんくさいからって、
本当のこと言ったら田さんかわいそうだろ」
ハルキくん!
がーん、ハルキくんまで…
「かおるちゃんは、どんくさくないよ。
きっと夢中になっちゃったんだよね、自由研究。」
「さっちゃん…分かってくれるのはさっちゃんだけだよ…」
さっちゃんの両手を取って、
また涙の出そうになった目を
瞬きで誤魔化す。
「はいはい、まあいいけど。
学校に戻ってもまた迷子にならないよう
気をつけろよ~」
「本田くん!」
ムカついてつい大きな声を出しちゃった。
でも、全く気にしないといった風に、
本田くんは部屋に戻っていく。
一緒に戻っていくハルキくんは、
振り返ってヒラヒラと手をふって
優しい笑顔を見せてから、本田くんと去っていった。


