「そうだよね、
ね、おねえちゃん!
天使そこにいるよね!」
トモキくんの一言で
我に返る
「う、うん」
こんなに純粋なトモキくんの前で
嘘はつけないよー
「藤田さん、ほんとに?」
そして、こんな綺麗な
ハルキくんの目に見つめられちゃ
嘘つけないって!
宙に浮いたトモキくん
あれを見ちゃってるんだから
信じてくれるかも?
「うん、ほんとにいるよ。
今も、そこにいるけど…
姿は私にしか…見えないみたい」
わたしは
ハルキくんになんて思われるか心配で
うつむいてしまった
太陽の熱を
首筋にジワジワと感じる
セミの声が聞こえる
スローモーションどころか
時間が止まったみたいになった
天使だけは
転がっていったボールを回収し
この期に及んでまだ
遊ぶ気満々のようだ
赤いボールが
また
宙に舞う


