上弦の月と下弦の月




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無事誰かに拾ってもらえただろうか。
もし我が子を拾ってくれたなら、とても感謝している。

さて、これを読んでいるのは拾ってくれた人か我が子かはたまた違う人かはわからぬが、我が子に向けて書く。


この手紙を読んでいるおまえはいくつになった?
元気に育っただろうか?

成長した姿を見てみたいが、きっと私はこの世に既に居ないだろうと思う。

私は、いや、私たちは結果的におまえを捨てたことになるがそうではない。
私たちの元では死ぬしか選択肢がなかったと思う。
今おまえが生きているのならその道からは逃れられたのだ。

おまえの父親は戦士、母親は魔道士。
私たちは最後まで敵に立ち向かう。
そんな私たちを誇りに思ってくれたら嬉しい。


最後に。
おまえには既に名があるだろうか。
あるのならばそれでよい。
だが、一応ここに名を記しておく。

我が息子の名は───



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