上弦の月と下弦の月




「…俺は捨て子だったんですね。」


そう言った少年の口はカラカラで、言葉はかすれていた。


「でも私たちは実の子供だと思って育てていたわ。

それは、本当よ。」


養母の言葉に少年は静かに頷いた。

目線は下がったままだった。


「いつか話さなくちゃいけないと思っていた。

ウィンは今日で大人の仲間入りをした。

だから知る権利があると思って今日話した。

…13年前、赤子にウィンと名付けた日に。」

「父さん、母さん。

俺、何となくずっと思ってたんだ、そうじゃないかって。」


その言葉を聞いて、養父は参ったとばかりにははっ笑った。


「本当に頭がいい、勘が鋭い奴だ。」

「本当ねぇ…」


両親は感心したと言うよりも、少し呆れたような笑みを見せた。