上弦の月と下弦の月




「ある風の強い日、俺は森に居た。

その時期にしか採れない食材を集めに行っていたんだ。」


それについて、少年は何回かついて行ったことがありよく知っていた。

静かに相槌を打ちながら少年は聞いていた。


「日が暮れるにつれて今にも雨が降りそうな雲が空を覆った。

それをみて俺は帰りだした。

元来た道とは違う道を通り、さらに食材を集めながら歩いていた。

だが、途中雨が降りだしたんだ。

小雨の間はそんな気にしなかったがだんだん雨足は酷くなり、こりゃあまずいと思って走り始めた。

すると木の影にあるものを見つけたんだ。

近づいてみると赤子が入った籠だった。」


そこでまた養父は水を口に含む。

少年の表情はなんとも表せない様だった。