上弦の月と下弦の月




「ふふっ、明日はご馳走ね。」

「あぁ……ウィンの好きなものを用意してやろうな。」


2人は悲しげな表情をしながら微笑みあった。

「さあ、こんな顔をしていたらウィンにすぐに問いただされてしまう!
なんたって勘が鋭いんだもんな!」

「えぇ。」


もう2人には悲しみの影は消え去っていた。

いつも通りの明るい夫婦の顔があった。


ウィンを明るく立派に育てた、優しい笑顔が溢れる夫婦の顔が───。