先生が私をギュッと抱きしめる。
こうして先生にギュッとされるのも最後なのかな……。
先生の優しい体温を感じるのも最後なのかな……。
イヤだよ――。
先生と別れたくないよ。
先生の胸の中で泣いた。
声を殺して嗚咽を抑えて泣いた。
「ハル?」
先生が私の肩をポンポンと叩いた。
この時が来た……。
私は顔を上げることが出来ない。
「ハル?顔を上げて?」
先生は何回もポンポンと私の肩を叩く。
私は恐る恐る顔を上げた。
先生は優しい顔をしてる。
「ハル?今日、俺と一緒にいて?」
「えっ?」
どういうこと?
「さっき、俺は許さないって言ったよな?」
私は"コクン"と頷く。
「今日、俺と一緒にいてくれたら許す」
先生がニコッと笑った。
先生……。
私は"うんうん"と何度も頷いた。
そして声を出して嗚咽を吐き出しながら泣いた。