しばらくして車に戻って来た先生の顔を見てビックリした。
口の端が切れて血が流れてる。
「先生……口から血が……」
私が目を見開いたまま言うと、先生は笑って手で血を拭った。
「殴られたのなんて何年振りかなぁ?」
先生はクスッと笑った。
殴られたって……彼に?
私のせいで……また、私のせいで先生が……。
先生の綺麗な顔に傷が……。
「ハル?」
「ん?」
「もう大丈夫だからな」
先生が私の頭を優しく撫でてくれた。
ポタポタ落ちる涙。
私は鞄からハンカチを出して、先生の口に当てた。
「いてっ!」
顔を歪ませる先生。
「先生……。ゴメン、なさい……ゴメン……なさい……」
私は泣きながら先生に謝った。



