「ハルは否定してるけど?」
先生の視線が彼に向けられた。
「はぁ?ふざけんなよ!じゃー何で飲み会に来たんだよ?男探しに来たんだろ?」
違う……。
私は首を激しく左右に振った。
「そんなヤツよりさぁ……。俺にしとけって!なっ?」
彼は私の腕を掴んだ。
「やめて!」
私は必死に先生にしがみつく。
先生もさっきより強く抱きしめてくれた。
「彼女、イヤがってんだろ?やめろよ」
それでも手を離さない彼。
年末の夜。
人通りが多い。
私たちのことをチラチラ見て行く人もいる。
「君、大学生?」
先生が彼に聞いた。
「そうだけど?」
「こんなとこ知り合いに見られたらマズイだろ?特に女の子とかに」
先生がそう言うとニヤリと笑った。
彼の表情も曇る。
「場所を移し話そうか?」
先生がそう言うと、彼は「あぁ」と言った。



