先生が駆け寄って来て、私を抱きしめてくれた。
「先生……」
涙で先生の顔が歪んで見える。
溜まった涙がポロポロとこぼれだした。
「ハル……」
先生は笑顔で私の髪を撫でてくれた。
「あんた誰?」
先生が彼を見上げる。
「ハルの彼氏だけど?」
さっきとは違って冷たい表情の先生。
そして私を抱きしめたまま、ゆっくり立ち上がった。
「はぁ?彼氏?さっき彼氏いねぇって言ってたじゃん」
「そうなのか?」
先生は私を見た。
私は首を左右に振った。
いないなんて言ってない。
言おうと思ったら先生が来てくれたから言えなかっただけ。



