「どうして?他に好きな人いるの?」
彼は立ち止まると、そう言って私の顔を見た。
好きな人はいる。
彼氏もいる。
そう彼に伝えたい。
ハッキリ言ってやりたい。
でも恐怖で何も答えれない自分がいた。
このまま何も言わないと勘違いされてしまう。
「………あの!」
「ん?」
優しい顔で私を見る彼。
「私………」
彼に彼氏がいることを伝えようとした時――。
「ハル!」
と、目の前に先生が現れた。
先生………。
やっと来てくれた。
私は安心感から彼に手を握られたまま、アスファルトの上にペタンと座り込んでしまった。



