幸太郎って人と並んで駅に向かって歩いていた。
いきなり肩を叩かれて体が"ビクッ"となった。
「ハルちゃんちって、どの辺?」
私は鞄からメモ帳とボールペンを出した。
『○○町』
そう書いて、彼にメモ帳を見せた。
「○○町かぁ……。俺、近道知ってるから着いて来て?」
彼はそう言うと、いきなり手を繋いで来た。
手を引っ張って離そうとしても強く握られた手は離れない。
どうしよう……。
「あの……」
私は思いきって彼に声をかけた。
「ん?何?」
「離してもらえませんか?」
そう言いながら空いてる方の手で繋がれた手を指差した。
「何で?」
何でって……。
「嫌……だから……」
私はそう言ってやった。
「はぁ?言ってる意味わかんねぇし」
彼が一瞬、私のことを睨んだ。
怖い……やだ……。
離して!
私は手を引っ張る。
空いてる手で彼の手をどけようとした。