「ハル?他に見たいとこある?」
「ううん」
ハルは首を左右に振った。
「じゃー、出よっか?」
「うん」
俺たちは駐車場に向かって歩いた。
駐車場への出入口の前で、俺はハルの肩をポンポンと叩いた。
「ん?」
「わりー!俺、ちょっとトイレ。先に車に乗ってて?」
「えっ?」
驚いた顔をするハル。
「これ」
俺はスーツのポケットからキーケースを出した。
そして車のキーを見せた。
「これが車のキーだから。このボタンを押したら鍵が開くからな」
そう説明して、ハルにキーケースを渡した。
不思議そうな顔をしてキーケースを受け取るハル。
「すぐ戻って来るから、乗って待ってて」
俺はそう言って、トイレの方に歩いて行った。
―瑞樹Side end―



