「ハル?」
先生が肩をポンポンと叩いてきた。
「ん?」
「俺、今日はこれで帰れるんだけど……」
「えっ?そうなの?」
私はお重を風呂敷に包みながら言った。
「瑞樹、サボりか?」
「ちげーよ!有給取ったんだよ!」
学校の先生にも有給ってあるんだ。
知らなかった。
だから鞄を保健室に持って来てるんだ。
「これからどっか行こうか?」
「うん」
先生とデート。
そう思っただけで"ワクワク""ドキドキ"しちゃう。
「まぁ、そういう事だから」
先生が阿川先生の肩をポンポンと叩く。
「はいはい。楽しんで来て下さい」
阿川先生が笑いながら言った。
私は風呂敷に包んだお重を紙袋に入れた。