「香月!」
阿川先生が私を見てビックリしてる。
阿川先生もあの頃と何も変わってない。
ワックスでセットしてる無造作ヘア。
銀縁メガネに白衣。
童顔な顔。
保健室の中も何ひとつ変わってない。
「久しぶりだな~。元気だったか?」
私は笑顔で頷いた。
私は、あのいつも座ってた丸椅子に座った。
「阿川先生も……元気だった?」
「えっ?香月…お前、しゃべれるのか?」
「うん…」
「そっか…。香月の声、初めて聴いた」
阿川先生がクスッと笑った。
私も阿川先生の声を初めて聴いたよ。
童顔の顔からだから高めの声かと想像してた。
でも阿川先生の声は低くて男らしい声だった。



