「先生?」
ハルのお母さんが俺の方を向く。
「はい」
「その後、体の方は……」
5年前のあの事件のことを聞いてるんだ……。
「大丈夫です。すっかり良くなりました」
「良かった」
5年前のあの事件の時には、ハルやいろんな人に心配かけたもんな。
「あっ!僕はこれで失礼します」
頭を下げて、立ち上がろうとした時、
「先生、この後、何か予定でも?」
と、ハルのお父さんに聞かれた。
「いえ、特に何も……」
「じゃー、晩ごはんを一緒にどうです?」
「いいんですか?」
「もちろん。なぁ?お母さん」
「えぇ!ぜひ!」
「先生?一緒に食べよ?」
ハルが笑顔でそう言った。
「じゃー、お言葉に甘えてご馳走になります」