「地味ね」

大嫌いな香水ぷんぷんの
化粧臭い女が私に言ってきました。
死ねばいいのに……なんて、今の私の口からは言えない。

だって、私は

「アハハ……」

単なる地味な一般市民だから。

「しかもデブ」

確かに、156cmで58kgはデブかもしれんなトリガラ女。デブは抱き心地いいが、テメェみたいの抱いたら骨でゴツゴツして痛そうだな。

なんて事も言わない。

「それだけですか?」
「ええ、まあね」

貴重な時間をこんのトリガラ女が。
私は、今チェック中なんじゃ。

有名雑誌の有名読書モデルに、ここまで心中で罵倒しているのは、
 
私こと、野沢花子である。
 
【第一話 五感】
 
野沢花子。仮名なんて必要ない位とてもポピュラーな名前でしょ。
てか、野沢は別にいいが、花子って昭和初期か、畜生が。と、私は今までの16年間をそう思い過ごしてきている。

もちろん、名前で虐められた事もある。
トイレの花子さんと何度男子にからかわれ、何度トイレに閉じ込められたか。
(後に、報復をしたが)

定期を買う時に何回笑われたか。
(東京花子って誰だっつーの)

それだけ、この名前が嫌い。
だから、私は自分の名前を呼ばれるのが嫌いで、友達にはアダ名として、苗字と名前で『のはな』と呼ばせてる。

可愛いよね?

さて、外見だが……
地味。至って、地味。
髪の毛が跳ねたハニーブラウンなのと
猫目くらい。

あとは顔地味。スタイルはチビデブ。
才能もなし。色気皆無。
おかげで痴漢経験0とまでくる。

すげえな、オイ。

で、中身なんだが、爆弾を三つ抱えていたりする。

まずは、性格が悪い。
父親から仕込まれた処世術と母親の女道のせいで心は捩り曲がってます。

父親は、悪態は心中にと教えてくれた。
心中なら何にもならない、と。

凄く良い教えだ。

けど、母親の女道については……あまり話したくはない。