「結衣!!大丈夫か!?」

その様子に慌てて座り込み結衣の身体を心配すると、結衣も自分の行動に驚いたようで焦って立ち上がろうとしていた。


「ご、ごめんなさい!!安心したら…腰が抜けちゃって…」

涙を流しながら立ち上がろうとする結衣に、おふくろが「ごめんね結衣さん!怖かったでしょう!?」と心配そうに駆け寄ってくる。親父も「すまん!」と謝っているが、結衣は「い、いえ!!」とブンブンと首を横に振っていた。




「ごめんな結衣、不安にさせて…。もう、帰ろう」

まだ座り込んだままでいる結衣を抱き締めながら呟くが、結衣は両親の前で恥ずかしいのか、慌てて俺から離れようとする。

それに構わず、まだ力が入らない結衣の身体を抱きかかえて立ち上がった。


「言いたいことは山ほどあるが…。もう結衣を連れて帰る」


考えてみたら、ここに連れて来てからほとんど結衣を気遣ってやることができなかった。

結衣は不安と緊張で押しつぶされそうになっていたはずだ。突然こんなバカでかい屋敷に連れてこられ、俺の親ではあるが大企業のトップに君臨する大人に囲まれ、しかもさっきまで脅されてたんだ。

ただの女子高生の結衣が平気でいられるはずがない。