「なぁ結衣、今日はうちに泊まれ」

部屋に入り、お茶を飲みながら寛いでいる結衣に声をかけた。

突然発した俺の言葉に、結衣は「え？」とお茶を飲む手を止め驚きで固まっている。


「だから、今日はうちに泊まれ」

「ダ、ダメです!!今日はダメっ!!」


もう一度言うと、結衣は慌てて断ってきた。

おそらく、俺がまたいつものように不純なことを考えているとでも思っているのだろう。

しかし、今日は違う。
親父のことがあるため、結衣を1人にさせるのがただ心配でたまらない。

……まぁ、やましさも少しはあるけど。


「何でダメ？」と結衣の隣に座りながら問うと、少し困ったような表情で返された。


「今日は、お母さんがご飯作って待ってくれてるんです。試験も終わったし、一緒に食べようって」

「そうか…」


そうくるとあまり強くは押すわけにいかない…。

かなり心配だが、母親がいるなら１人で夜を過ごすわけじゃないか…。
仕方がない。