「先生、何もこんな所まで来なくても…」

「まぁいいじゃねえか」

そう言いながら結衣の手を引いて駐車場まで戻り、車に乗り込んだ。


「おつかれ。試験はどうだったか?」

「やっぱり難しかったです…」

「ま、あとは結果を待つだけだ。よく頑張ったな、結衣」

「はい」

ようやく最後の受験から解放されたからか、結衣は晴れやかな表情になっている。


「よし、じゃあ帰るか」

周りを見ながら車を発進させた。


見た限り、まだ不審な奴はいなかったが、油断はできない。
親父のことだからすぐに動き出すに決まってる。


常に見守れる環境であればいいが、俺も学校があり、結衣も卒業式までは登校することはないから、必然的に1人にさせてしまうことになる。


そこを狙われる可能性もあるな…。

いっそのこと護衛でも付けるか?いや、そこまでするとさすがに結衣がビビッてしまう。

でも何としてでも守らないと…。

より一層結衣のガードを強化しなければ、とあれこれ考えるうち自宅に到着した。