「結衣、最近身の回りで何かおかしな事はないか?」

「おかしな事?例えば?」

「変な人につけられたり、見張られていたり。違和感があったこととか、何でもいい」

「いいえ、ないです。……急に、どうしてですか?」

「い、いや…。最近……変質者が出たらしいから」

「えぇ!?またですか!?」


結衣は一度変質者に襲われかけているから、俺の言葉にかなりビビッてしまったようだ。

もちろんデタラメだが、「親父が結衣を狙ってる」なんてそんなこと言えるわけがない。


「大丈夫だから…。俺がついてるから」

そう言いながら結衣の身体を引き寄せてそっと抱き締めると、結衣は不思議そうな顔をしながら見つめ返してきた。


「大丈夫ですよ。先生いつも大げさなんだから」

「……とにかく、何かあったらすぐ言え。俺も気を付けるから」

「はあ…」


ひどく心配そうな俺とは対象的に、結衣は相変わらず不思議そうに生返事を返しただけだった。