「なぁ結衣、誕生日プレゼントは何がいい?」


プレゼントのことが頭から離れない。
いてもたってもいられず、今夜もうちへ来て黙々と勉強をする結衣に話し掛けた。


「……はい?」

結衣は勉強の手を止め、怪訝な表情で顔を上げ俺を見た。


「今なんか欲しいものないか?」

誕生日じゃなくても、今すぐ欲しいものがあればすぐにプレゼントしたい。とにかく、恋人らしいことがしたくてたまらない。わくわくと答えを待つ俺を、結衣は何も言わず怪しげに見つめている。

おそらく結衣の中では、「こいつ、また変なこと思いついてる」とでも思っているのだろう。


そんな視線にめげずに、「なあなあ、何が欲しい!?」と詰め寄った。



「誕生日は一ヶ月も先なんですけど。それに、欲しいものもありません」

考える素振りも見せず、相変わらずきっぱりと結衣に断られた。


「そ、そうか…。ねえのか…」

つ、冷たい…。

しかしこれは予想通りだ…。そう言うと思った。結衣は自分から望まねえからな。仕方ないが、俺が結衣に合うものをプレゼントしよう。それも楽しそうだ。


勉強を再開している結衣の横で、ニヤニヤしながら新たな楽しみを見つけていると、「あ、そうだ」と、結衣が何かを思い出したように再び顔を上げた。