「はあぁ。面白くないわ、幸せな銀次って」

「ざまあみろ。お前が新しい男を探してる間、こっちは毎日ラブラブだ」

「なんかムカつくわね…」

本当に気に食わないといった目つきで沙織は俺を見ていた。

実際はマジメに勉強しているだけで毎日ラブラブなんて雰囲気はないが、そう思っておきたい。切実な願望だ。


「そんなにいいなら私も若い男に走ってみようかしら。そういえば、あんたとその彼女って年の差いくつ?」

「あ?…俺が夏に26になって、結衣が……」


言いながらハッ!と気付いた。

……そういや、結衣の誕生日っていつだ!?

もしかして…!!俺、結衣の誕生日スルーしたのか!?結衣は自分から言うタイプでもないし…。

ま、まずい!!


「沙織、悪い。急用ができた」

「え!?」

「じゃあな」

「ええ!?ちょっ…!!」


待ちなさいよ銀次!!と後ろで叫んでいる沙織を無視して、急いで職員室に戻った。