青い顔して聞く俺とは反対に、結衣は頬を赤くしながらトロンとした表情で見上げている。


「言われてみれば…身体が少しダルイような気がします…」

「ま、まじ…?」


ウソだろっ!!!!
そ、そんな…。

へなへなと肩を落として呆然とする俺に、結衣は「…先生?」と不安そうに聞いてくる。


俺としたことがっ!!まったく気付かなかった!!

普段なら抱き締めりゃすぐ分かったのに、なんせ結衣はモコモコに厚着していたから身体が熱いのも分からなかった。


もしかして顔を赤くしていたのも、熱のせいか…?

まじかよ…!!

さすがに、これじゃ手を出すわけにいかない…。
またおあずけか!!


ガックリしながら自分のはだけているシャツを着直してベッドを降りた。


「安静にしないと…。ひどくならないように」

心でしくしくと泣きながらクローゼットに向かい、いつか結衣が熱を出した時に買った着替えを取り出した。


「これに着替えて、もう寝ろ」

「…いいの?」

「しょうがねえだろ」

俺の欲より、結衣の身体の方が大事に決まってる。

そうは思いつつも泣く泣くといった表情の俺に、結衣は「ありがとう、先生」と微笑んだ。


「どーいたしまして…」

灰になりかけながら答えると、結衣は楽しそうに無邪気に笑っている。


あぁ…ツラい…。
こんなことってあるんだろうか…。